フェイルオーバ時のGUI接続先設定

こんばんは、カズヤンです。

今日は、クラスタ構成と負荷分散について書きたいと思います。

以前、ハードウェア障害でサーバがフェールオーバしたことを書きましたね。

www.kazusapbasis.com

インシデントが発生した際に、サーバへの接続確認をteratermとSAP GUIにて行うこと

がありますが、どうやら仮想ホストIPアドレスをSAP GUIの接続先設定として登録して居なかったため、インシデントが起きてから、仮想ホストIPアドレスを登録することになったのです。前回のインシデントに対しての問題管理としてGUI設定の是正をしている感じです。

 

現状は、こんな感じでサーバ構成されており、

SAP GUIでは、主系サーバと従系サーバの物理IPアドレスのみが振られているため、

主系サーバが従系サーバにフェールオーバした際に、サーバ毎に接続確認するのが面倒臭い状況が起こり得ます。どう言うことか以下で説明します。

 

サーバ構成は下記のようになっています。

なお、ここでのクラスタ構成は、負荷分散クラスタではなく、高可用性(HA)クラスタを想定しています。そのため、SAP GUIにて、仮想ホストIPにログオンした際には、必ず主系サーバにログオンする設定とします。

もし、これが負荷分散クラスタ構成となっていたら、仮想ホストIPにログオンした段階でトランザクションの処理に利用されるリソースが余っているホストにログオンすることになります。繰り返しですが、今回想定するのは、高可用性(HA)クラスタです。

  f:id:kazuyaengineer:20180113144453p:plain

主系サーバおよび従系サーバが正常稼働している際には、ステータスは以下のようになります。

Ping:

仮想ホストIP(172.35.30.11)  疎通可

主系サーバ(172.35.30.12)     疎通可

従系サーバ(172.35.30.13)     疎通可

 

SAP GUI:

仮想ホストIP(172.35.30.11)  ログオン可

主系サーバ(172.35.30.12)     ログオン可

従系サーバ(172.35.30.13)     ログオン可

 

なお、以下が主系サーバがなんらかのトリガーにより、従系サーバにフェールオーバした後のサーバ構成です。フェールオーバのトリガーに関しては、クラスタ構成ソフトを販売しているベンダーのHPにて確認ください。このあたりもある程度は設定ができるっぽいです。大抵はネットワーク障害やハードウェア障害がトリガーとなりますが...

        f:id:kazuyaengineer:20180113144523p:plain

主系サーバがフェールオーバすると、まず、クラスタ構成にて事前に設定していたパッケージが従系サーバに移動することになります。SAPの場合、主系サーバで稼働していたセントラルインスタンスが従系サーバ上で稼働することになり、従系サーバで稼働してたダイアログインスタンスが停止することになります。

サーバのステータスは以下のようになります。

Ping:

仮想ホストIP(172.35.30.11)  疎通可

主系サーバ(172.35.30.12)     疎通不可

従系サーバ(172.35.30.13)     疎通可

 

SAP GUI:

仮想ホストIP(172.35.30.11)  ログオン可

主系サーバ(172.35.30.12)      ログオン不可

従系サーバ(172.35.30.13)      ログオン不可

 

となります。

主系サーバが落ちているのでもちろんPingもSAP GUIもアクセスはできないです。

クラスタ構成をとっているので、SAP GUI上では従系サーバにもアクセスできません。

ユーザ側では、本番機サーバにただアクセスができる環境であればどこにアクセスできても同じことなので、仮想ホストIPをGUIで設定しておけば、何も問題はありませんが、我々のようなシステム管理者はこのGUI設定を常にどのサーバにも迅速にログオンできる設定にしておく必要があります。

 

現状:

主系IPアドレス

従系IPアドレス

 

是正策(1):

主系IPアドレス

従系IPアドレス

仮想ホストIPアドレス

 

是正策(2):

仮想ホストIPアドレス

従系IPアドレス

 

と考えています。

 

ここで、大切な要素となるのが、どこでシステムの負荷分散をしているのか?と言う点です。

負荷分散をSAPシステムのユーザログイングループ設定をしている場合で、サーバ側で負荷分散クラスタを設定していない場合には、仮想IPにログオンした場合には、確実に主系サーバにログオンできる証左があるので、どちらの是正策でも問題ないと思っています。

ただし、

サーバのクラスタ構成で、負荷分散クラスタ設定を行なっている時には、仮想ホストIPにログオンした時に、主系サーバにログオンするのか、従系サーバにログオンするかはワークロード次第のため、不確実です。よってこの場合には、是正策(1)を検討して確実に入れるシステムを確定しておく必要があると考えています。

今話しているのは、システム管理者のGUI設定の話ですが、ユーザ側はただ本番機にログオンできればそれで問題ないので、システムの構成などどうでもよく、仮想IPで常にログオンしてもらうということで問題ないと思います。

 

ながながと語りましたが、結論として、

SAPシステムのサーバ構成でクラスタ構成をしている時には、必ずGUI設定を意識した方がいいです。

「どのシステムにいつでも入れるようにしておく」ために、GUIの接続先設定は全IPアドレスを追加することを強くおすすめします。

 

では、今日はここで失礼します!!

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