稼動確認のためのTrcd(1)

SAP Basisはミドルウェアであるわけですが、主な目的としては、SAPのアプリが正常に稼働することをサポートする点にあります。

 

SAP Basisの運用の現場にいる僕としては、SAPパラメータ変更や、DBパラメータを変更するなどの変更作業ではシステムに不具合が生じることがあります。その際にBasis管理者としてシステムが正常に稼動しているか否かを確認する局面がめちゃくちゃたくさんあるのです....

 

今回はSAP Basisにおける基本コマンドを通して稼動確認の方法を説明します。

主に、SAP未経験者の方々に見ていただけると幸いです。

 

SM12: ロックエントリリストの照会

SAPにおいては、あるプログラムを実行する際に、処理が終わるまでの時間はエンキューテーブルを占有するのですが、このエンキューテーブルを表示してくれるコマンドになります。もし、エンキューテーブルが空いていないにも関わらず、大量のロックテーブルを占有するプログラムをアプリ側で実行した場合には、他の処理はこのエンキューテーブルが実行可能状態になるまで待機を続け、予定されていたバッググラウンドジョブが落ちてしまうなんてことも普通にあり得ます。

 

SM13: 更新ステータスの紹介

処理中ジョブの確認によく使います。この処理をせず、更新中のプログラムがあるにも関わらず新たなプログラムを走らせた場合、プログラムが止まってしまうことがたまに起こります(原因はわかりませんが...)。この場合、プログラムがその後正常にストップしたとしても、データが途中まで更新され、残りのデータの更新がされていないことがあります(データの不整合)。これを防ぐために変更作業を実施する際にはTrcd:SM13を実行しましょう。

 

SM21: シスログ確認

シスログとは、SAPのシステムが稼働する中で出力されるシステムエラー、警告など、あらゆるイベント情報が表示されるものです。シスログを追い、出力メッセージを追うことで大体のエラーの原因を解明することは可能となります。SAP社による公式の見解を下記リンクに掲載されておりますので、そちらもご確認ください。

参照)

https://help.sap.com/saphelp_nw70/helpdata/ja/c7/69bcbaf36611d3a6510000e835363f/frameset.htm

 

SM37: バッググラウンドジョブ実行結果確認

日付、時間、ユーザー、ジョブ名などの分類項目を指定することで特定したジョブのステータスを検索することができます。ジョブが落ちていた場合には、履歴を追うことによりその原因を調べることができます。

 

SM51: アプリケーションサーバーステータス紹介

アプケーションサーバーはインスタンスなんて言ったりします。SAP Basisコンポーネントでは、セントラルインスタンスとダイアログインスタンスが存在するのですが、これらのインスタンスの元にディスパッチャが置かれ、ディスパッチャの元に複数のワークプロセスが存在します。もし、インスタンスが停止していたらこのワークプロセスが昨日していないことになりますので、Trcd:SM51で確認する必要があるのです。

 

終わりに、本記事では5つの基本コマンドを照会しましたが、SAP Basisの稼働確認では、これ以外にも稼働確認コマンドが存在します。そのため、今後の記事でもたくさん紹介しますので、楽しみにしていてください。今回もお読みいただきありがとうございました。

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